はじめに
発症10年目の再発は、私にとって大きな衝撃でした。私の命がいかに脆く、一瞬で失われかねない不安定なものという事実を突きつけられた。
人間には不必要なことは起こらない、すべて必然だと常に思っておりますが、再発前から引き受けていた、町内の世話役もいろいろと重くのしかかってきて、果たして二年の任期中に、私の命は持つのだろうか・・・。日々起こる問題解決に奮闘する毎日でした。
そんな払いきれない不安を抱えながらも、目の前の課題に向き合い、みんな笑顔になるよう心掛けました。
任期を無事に全うできたことが、再びペンを取る原動力になりました。
新しい自費リハビリとの出会い
再発当初は現在とは違う自費リハビリに通っていました。再発時の顔面麻痺を治していただき大変お世話になりました。
しかし、遠方のため通うのに一日がかりになることが続けられなくなったので、自宅近くでないかと探していたら、車で15分位の所に、脳卒中にも精通していて鍼灸師、理学療法士が居る自費リハビリ院が開設した事をネットで見つけました。ホームページも感じがいい、もしかしたら自分の新たな居場所になるかもしれない、「助けに船だ」という思いで早速予約しました。
意思の疎通
「出来たばかりの施設なのによくいらっしゃって下さいましたね」と温かい雰囲気で、問診を丁寧に一時間くらい。私は針治療を予約したのですが、睡眠に問題が多いのでそこからアプローチしましょうという事になり、私も不眠が何とかなるという期待で始めました。
「睡眠に抗っても負けるだけ」と言う主治医の言葉からどんな施術があるのか興味津々でした。
東洋医学と西洋医学
私は漢方薬を飲んだ時期があり、その時に東洋医学に少し触れましたが、今まではほとんど西洋医学に馴染んできました。
鍼灸師は東洋医学です。自分は良くなるならこだわらないし、まだ知らない施術があるなら試したいという考えです。
西洋医学は病気の原因を特定し、悪くなった所を治療します。得意分野は急性の病気、大怪我、感染症などです。原因の除去、症状の抑制など「攻めの医学」です。
東洋医学は、病気そのものより病気を持っている人間全体を見ます。脈診、舌診、腹診などからバランスの調整や自然治癒力の向上などその人の体質やその日の状態に合わせた自己治癒力を高めることを重視します。
不眠症へのアプローチ
まず理学療法士によるストレッチ。体の緊張を緩めることで血流も良くしリラックスして眠れるようにする。
次はお灸を「ツボ(経穴)」や肌色や状態に合わせて温熱刺激。背中や足のかかとなど、ホンノリ暖かく、お灸の煙も心地良い匂い。
そしてヘッドスパ。若く美しい女性PTさんの繊細な指で、頭のツボをマッサージしていただくのは気持ちいいし眠たくなっていく。でもこんなおじさんがしてもらうのは、申し訳ないような恥ずかしいような。
最後に頭のツボに2~3本針治療、自律神経の乱れを取り除いているようです。
一週間に1回一時間、計12回行いました
睡眠はむずかしい?
丁寧な施術や説明のおかげで少し睡眠が良くなったと感じたので、何とかしたいと思っていたブロチゾラム0.25ml 4分の1かけを外しました。
1~2日は何とかなりましたが、眠れなくなってしまい、日常生活に支障をきたすようになり挫折しました。
たった4分の1かけなのに、今はまだこの支えが必要なのだ。
自費リハビリ施設側も、私の現状を深く分析した結果、アプローチを睡眠から麻痺治療へ切り替える決断をしました。
これは挫折ではなく、私に最適な道を探るための前向きな軌道修正でした。
不本意
期待していた不眠治療は、わずか4分の1錠のブロチゾラムを外すことさえ叶わず、一度は挫折をあじわいました。
しかし、この遠回りがあったからこそ、スタッフの方々と信頼関係を築き、新知識もたくさん吸収しました。何よりも障害も含め私を理解していただく良いプロセスになりました。
この治療院で初回からしていただくよりも、いろいろと環境が整い、私も東洋医学に対する理解も増え、鍼灸師も発症から10年以上たった私の体と真剣に向き合う気持ちを引き出したと思います。
もつれにもつれた障害を根気強くほどいていくには、自身の情熱、志、時間、費用は基より、プロ意識の高いセラピストを巻き込むことは必須だと思います。自分一人で頑張るリハビリは限界があり、辛すぎます。
そのためには多少不本意な事など気にしているよりも、それを自分にプラスにし、前へ進むこと。それが私の本意であり、見つけた希望なのです。

